2017年3月8日水曜日

54,55,56日目 ナゴルノ・カラバフ レンタカーの旅

昨日、同じドミに泊まっている2人組から、
「明日から3日間、ナゴルノ・カラバフというと所に行くんだけど、よかったら一緒に行く?」
と誘われました。




その話を聞くまでナゴルノ・カラバフという名前を聞いたことがなく、
その場で調べたところ、
とても複雑な事情を抱えている地域でした。



ナゴルノ・カラバフは隣国アゼルバイジャンの領土内にあるけれど、
そこには元々アルメニア人がたくさん住んでおり、
アルメニアに帰属したいナゴルノ・カラバフとアルメニア、
領土をとられたくないアゼルバイジャンとの間で、
20年ほど前に、ナゴルノ・カラバフ戦争が起こり、
その結果アルメニア側が勝利し、
ナゴルノ・カラバフは事実上の独立国家となりました。



しかし、国際的にはナゴルノ・カラバフの独立を承認した国家は存在しないため、
アゼルバイジャンの領土内にある、未承認国家となっている場所です。
さらに、アゼルバイジャンの領土内にありながら、
アゼルバイジャンからはナゴルノ・カラバフに入国することができません。



それをみて、
もう面白そうな気しかしなかったので、
この2人に3日間ついていくことにしました。




ただ、外務省の治安情報を見てみると、
ナゴルノ・カラバフ全域でなんと危険レベル3。これは初めてです。




ちなみに、危険レベル3とは、上から二番目のレベルで、
外務省のホームページから引用すると、

「その国・地域への渡航は、どのような目的であれ止めてください。」

とのこと。




普通だったらこんなレベルのところは行かないのですが、
宿のスタッフに話をきいても、
街中での治安は普通に良いみたいですし、
エレバンからも普通にバスが出ている場所なので、
そんなに気にかけずに行くことにしました。




この2人組のうちの1人が、
オーストラリア人でタクシードライバーをやっていたみたいで、
3日間レンタカーを借りて、
運転は彼に任せることになりました。
レンタカー代も、3日間で100ユーロ、
3人で割れば1人あたり33ユーロです。
やっぱり車もめっちゃ安い。




1日目は、セヴァン湖に寄りました。
ここは、ものすごく良い景色が拝めると聞いていたのですが、
実際着いてみると、一面湖が凍っていて、
うーん、って感じでした。笑





セヴァン湖のほとりにある、古い教会にも行きました。
ここは、建物の中に小さな祭壇があるだけのシンプルな造りでしたが、
壁を切り取っただけの窓から入ってくる日差しや、
素朴なキリストの絵などが、
すごくいい雰囲気でした。









そこから先、通る道はすべて山道で、
景色も素晴らしかったです。










ですが、先程のセヴァン湖にしろ、
この山道にしろ、
いい感じの眺めになるのは夏らしく、
確かに景色を眺めていてそんな気はしたので、
普通に夏に来ることをおすすめします。
自分も多分リベンジしにまた来ると思います。





1日目は、ナゴルノ・カラバフとの国境近くの街、
ゴリスまで来て、もう遅い時間になってしまったので、
ここで1泊することに。





適当にホテルを探して泊まりました。
3人だと、部屋をシェアできるので、
そこそこ安い値段の宿がすぐに見つけられるのもいいですね。





近くの安いレストランです。
1人2000ドラム程度でしたが、
結構美味しかったです。




2日目、いよいよナゴルノ・カラバフ入国です。
ナゴルノ・カラバフの入国にはビザが必要なのですが、
アルメニアとの国境では、パスポートをチェックされるだけで、
ビザは発行されません。
ビザは、その日のうちに、
ナゴルノ・カラバフの首都ステパナケルトまで行き、
そこの外国人大使館でビザを取得する必要があります。





国境のパスポートチェックのときに、
大使館の住所を書いた紙をもらえるので、
そんなに心配はないと思います。



まずはシュシーへ。


教会






モスク
ここは車を降りていきました。





フェンスがあって入れない雰囲気を出してましたが、
フェンスに大きな穴が空いていて、
そこから入った足跡もたくさんあったし、
先にオーストラリア人が入っていったので、
自分もお邪魔することにしました。




階段も、ものすごく朽ちている感じがして、
雰囲気出てました。






この塔も、上まで登れました。





近くの廃墟っぽい建物




こんなところで、
シュシーをすっ飛ばして、
首都ステパナケルトへ。




この国でも、通貨はアルメニアドラムです。
街の感じも人の感じも、ほぼアルメニアでした。




まずはお昼ごはん。
ピザ屋ですが、スープ(500ドラム)とパスタ(1000ドラム)を頼みました。
やっぱり安い。





そして、ビザの取得をしに大使館へ。
こちらでも書類を記入します。
ここでは、名前などの基本事項のほか、
ナゴルノ・カラバフで行く場所をすべて書き込む必要があります。




これらを提出すると、30分後にビザが出来るから取りにきてと言われます。



適当に時間を潰して、
ビザを取りに大使館に戻りました。




ここで21日間有効なビザと引き換えに、
3000ドラムを払います。




このビザですが、
パスポートに貼るか、別にしてもらうか選ぶことができます。
パスポートに貼ってしまうと、
仲の悪いアゼルバイジャンには入国できなくなってしまうので、
アゼルバイジャンに行く予定のある人は別にしてもらってください。




次は、ステパナケルトで有名な、
We are our mountain(我らが山)です。





名前に山とありますが、
すごく小さいです。ただの丘です。




そして、頂上には、
モアイのようなモニュメントが飾ってありました。






なんか、1発ネタみたいな感じで、
面白かったです。



さて、モアイも5分で見終わったので、
次の場所へ。




一緒にいる2人組はfortを見たいらしい。
いいねと言って車に乗っていると、急に、
「これこれ!」
とかいってドライブ中の車の中から撮影タイム。
自分も慌ててカメラを取り出して撮影しました。



結局停車することなく、
普通に素通りしました。
それでよかったのか。笑






さらに北上し、
アゼルバイジャンとの国境近くの街、
アグダムというところにやってきました。






ここは、周囲に綺麗な山々が見え、
たくさんの牛や羊がいて、
家も都会のように密集しておらず、
それぞれの家が石造りで、
庭のような広いスペースがあり、
とてものどかな光景に感じられました。










その、全ての家が破壊されて、朽ち果てていること以外は。






ここは、ナゴルノ・カラバフ戦争のときの、
最前線の街で、
戦争前は、4万人ほどのアゼルバイジャン系の住人が住んでいたそうですが、
カラバフ側がこの街を占拠した際に、
再び取り返す気を起こさせぬように、
家を全て破壊しつくしたそうです。

今は誰一人として住んでおらず、
軍が駐在しているだけの場所だそうです。
その街の様子から、
lonely planet では、
「コーカサスのヒロシマ」
とも紹介されていたみたいです。




先程のシュシーも、
この時の戦争での争いの地となっていたため、
破壊されたモスクや建物がありましたが、
ここはとくに、戦争の爪痕が、
はっきりと残っている場所でした。













2日目の観光はここまで。
ステパナケルトに戻ってきて、
宿を探したのですが、
なかなか安い宿が見つからない。
結局3人で2万ドラムのところを、
18000ドラムに値切って、泊まりました。
それでも1人6000ドラム。なかなか高価です。





3日目は、ステパナケルトで、
モニュメントのある広場に行ってきました。








他にも、ステパナケルトには、
街中にたくさんのモニュメントが転がっていました。





ナゴルノ・カラバフを去り、エレバンへ戻ります。
アルメニアからは、出国していない扱いになるらしく、
再びアルメニアビザを取得する必要はないようでした。





帰り道の途中、
Khor Virapに寄ってきました。




ここは城壁のようなものに囲まれた教会で、
ここでもシンプルな造りの、古い、美しい教会を見ることができました。












さて、すべての旅程が終わって、
3日間ともにしたレンタカー。





3日間のドライブで、
信じられないくらい汚くなりました。笑





この旅で、危険を感じることはありませんでしたが、
数日後、アグダムを含む国境付近の地域で、
アゼルバイジャンとアルメニアの衝突があり、
死者も出てしまったみたいです。



やはり停戦中とはいえ、
国境付近はかなり緊迫しているみたいなので、
行く方は自己責任で。
気をつけてください。





今日からは、
街の中心部にあるホステルに泊まることにします。

52、53日目、イラン出国、アルメニアの首都エレバンへ

今日は、いよいよイラン出国です。
出発前にバスカウンターの前にいき、
もう一度パスポートを見せてから、
バスに乗車しました。

バス会社




乗ってみると、
乗客が3人しかいませんでした。




これで採算が取れるのか本当に心配ですが、
客としては、人口密度が低くてかなり快適です。





しかも、WIFIもついています。
こんな感じで。





VIPバスで、席もかなり広く、
リクライニングもかなり倒れてくれるので、
ぐっすり眠れそうです。




エレバンまで24時間と聞いていますが、
これなら大丈夫そうです。





30分遅れで出発し、8時間後に、
タブリーズに到着、
そこから結構お客さんが乗ってきましたが、
それでも全然余裕がありました。





そこから1時間くらいたった頃、
バスは晩御飯のためにレストランに寄りました。






自分は出国するので、
ほとんどイランの通貨を使い切ってしまっていたため、
そこそこ高級なレストランで食べられるものがなく、
メニューを見て諦めてバスに戻ろうとしたのですが、
その様子を見ていた、同じバスのイラン人のおじさん兄弟が、
隣に座れといって、
フルコースでご飯をごちそうしてくれました。





さすがに申し訳なさすぎて、
USドルで払おうとしましたが、
いいよいいよと、受け取ってくれませんでした。




お金の話をすると、
イラン人の収入は、
大卒の新卒でも初任給が300−500ドル程度らしく、
日本人のおよそ4分の1から5分の1ほど。
もちろんみんなお金には困っているみたいですが、
このイランの旅では、
多くの人がそれにも関わらず、
色々なおもてなしをしてくれました。





もちろん、たくさん人が関わってくるということで、
なかにはうざい人間もそれなりにはいましたが、
多くの人の親切に助けられました。





イランに行くということで、
親にも友達にも結構心配されました。
実際、日本でのイランのイメージは良くないですが、
政治面はともかく、
一般の人はすごくフレンドリーで親切でした。




治安の面でもイランは良いし、
街にはヒジャーブ(スカーフ)を被った女性や、
数分歩けば見つかるモスクなど、
イスラムの異文化がその辺に転がっているので、
旅行には向いている国だと思います。





さて、ごはんも終わってバスへ。
先程のおじさん達はクルド人とのことで、
クルドの伝統衣装とかも、
写真でいろいろと見せてもらいました。
そんなこんなでお話していると、
深夜の3時頃、
アルメニアとの国境に到着しました。




ここのイミグレは、
東南アジアの国々とは違って、
24時間体制で開いていました。
建物の中も暖かいしで最高です。




イランの出国はすんなりと終わりました。




再びバスに乗って、
アルメニアのイミグレです。




アルメニアの入国には、日本人はビザが必要で、
自分以外の乗客はビザが不要らしく、
みんな先に行ってしまって、
1人で寂しくビザの取得をしました。





書類に必要事項を記入し、
係のおじさんにお金を払います。(書類に写真の枠はありましたが不要でした)
21日間までの滞在で、
3000アルメニアドラム(1円=約4.3ドラム)です。





まだアルメニアのお金を持っていなかったので、
ここで100ドルを両替しました。
1ドル=485ドラムでした。
そこそこのレートだったと思います。






無事にビザを取得して入国をすませ、
先に入国を済ませたイラン人達のもとへ向かいました。





ロビーにいる彼らのところについてびっくり。
なんと、自分がビザを申請している間に、
ウォッカの700ml瓶を半分開けていました。






イランでは飲酒が禁止なので、
気持ちは分からなくもないのですが、
入国して始めにやることがそれかよ。笑





自分も飲めよと誘われたので1杯だけいただき、
ロビーの係員に白い目で見られながら、
バスに乗り込みました。





そこから山道を9時間ほど、
テヘラン出発から、
トータル25時間かけて、アルメニアの首都エレバンに到着しました。






バスターミナルについて、
例のごとくタクシーやホテルの客引きに声を掛けられるのですが、
この旅で初めてロシア語を聞きました。
その辺の看板も、アルメニア語とロシア語で書かれています。
ついに旧共産圏に入ってきたという実感が湧いてきました。





エレバンは首都の割りにコンパクトな街で、
バスターミナルから街まで歩けるので、
普通に歩くことにしました。






始めに教会へ。
ただ教会の見学をしたかっただけなのですが、
なんと、たまたま結婚式をしていました。






まわりはスーツを着た人ばっかで、
バックパッカー感丸出しの格好ではとても居づらかったので、
そそくさと退散してきました。





お次に、気になる建物を見つけました。





なんだろうと思って見てみたら、
この街で1番大きいスーパー、
その名もエレバンシティ。




自分も先程のイラン人ではないですが、
イランで全くお酒が飲めなくて、
ものすごく飲みたかったので、
ここで買うことにしました。




アルメニアはワインづくりが盛んで、
とくにドライワインが有名なようです。




試飲もあったので、
そこから1つ買うことにしました。
値段も、800−2500ドラム程度と、かなり安い。




というか、スーパーを歩いていると、
他の食材も無茶苦茶安かったです。
チーズは100g200-500ドラムほど、
青カビのチーズでも100g600ドラム、
大きいホールケーキは1ホール5000ドラム、
フランスパンは1本100ドラム、
ビールも300-400ドラム程度です。







食文化はヨーロッパに近いですが、
ヨーロッパで同じものを買おうとすると、
物によっては数倍します。





街並みもおしゃれで綺麗だし、
酒も大好物のチーズも安いし、
女性は信じられないくらいの美人がゴロゴロいます。





来て1時間で、
すでにもうここで暮らしたいと思いました。
会社に入ったら、ここに支店を立ち上げて、
お酒をしこたま飲んで、
チーズを貪り、
アルメニア美女を捕まえて、
この街で暮らします。笑




さて、今日の宿は、
1泊2000ドラムという値段のドミにも関わらず、
サウナがついているということで、
Grand Hostel Yelevan というところに決めました。





いざたどり着いて、
チャイムを鳴らしても、誰も出ません。
電話を掛けても何も反応がありません。




もしかして休み?
いやでも予約できたからそんなはずは...




と考えていたところに、
ドミに泊まってる宿泊客がきて、
ドアを開けてくれました。




中に入ってしばらく待っていると、
やっとスタッフが外からやってきました。





どうやらここの宿は、
スタッフが常に宿にいる訳では無いみたいです。
なので、事前に到着時間を連絡しないといけないらしい。
こんなことは初めてだったのでびっくりしました。




サウナについても、
この冬はエレバンで、この150年間で1番の冷え込みらしく、
そのせいでサウナが壊れて使えないそう。
なんと。。
寒い時期にこそ要るものでしょう!





そんなこといっても、壊れたものはどうしようもないです。
宿自体は清潔だし、キッチンも付いているので、
値段の割にはいいところだと思います。
ただ、街の中心からちょっと遠いのが難点ですね。